『咲-Saki-』の 6 巻を読んでいたら面白い手が出ていました。 110 符 1 翻です。この手を出すにはどうすれば良いでしょうか。
110 符なので 102 符から 110 符の間です。副底 20 符を差し引くと残り 82 符から 90 符の間です。
4 面子がいずれも順子でない場合は対々がついて 2 翻になるので少なくとも 1 面子は順子でなければなりません。順子は 0 符なので, 3 面子,頭,待ち,和了の合計で 82 符から 90 符です。
么九牌の暗槓子がないとすると,面子 16 符,頭 4 符 (連風),待ち 2 符,和了 10 符が最高なので 16 × 3 + 4 + 2 + 10 = 64 で足りません。少なくとも 1 つ么九牌の暗槓子が必要です。残りの 2 面子,頭,待ち,和了で 50 符から 58 符になります。
同様に残りの 2 面子がいずれも么九牌の暗槓子でないとすると, 16 × 2 + 4 + 2 + 10 = 48 なので,么九牌の暗槓子はもう 1 面子必要であることがわかります。これを差し引き,最後の面子,頭,待ち,和了で 18 符から 26 符になります。
ここで,和了が面前ロンでないとします。すなわち,和了による加符がツモの 2 符以下であるとします。ここで面子が 8 符以下とすると, 8 + 4 + 2 + 2 = 14 符で足りないので面子は 16 符となります。しかし, 16 符は槓子ですので三槓子で 2 翻になります。したがって和了は面前ロンでなければなりません。面前ロンによる加符は 10 符ですので,面子,頭,待ちで 8 符から 16 符が必要です。
面子に点がないと 0 + 4 + 2 = 6 で足りないので面子は符ありの刻子になります。もしこの刻子が暗刻子だと先ほどの么九牌の暗槓子 2 面子と合わせて三暗刻がつきますので,明刻子でなければなりません。
ここで注意しなければならないのは面前出上がりを仮定している点です。面前ロンで明刻子を作るにはシャボ待ちである必要があります。すると待ちは 0 符になりますので,明刻子と頭で 8 符から 16 符が必要です。
明刻子,頭がいずれも 4 符以下ですので,いずれも 4 符,つまり么九牌の明刻子と連風牌の頭になります。なお,この時点で連風牌の頭を 2 符とみなす場合は 110 符になるような組み合わせがないことも同時にわかります。
么九牌の明刻子と連風牌ができる面前のシャボ待ちですので,么九牌と連風牌の対子が待ちになります。また,順子と 2 つの么九牌の暗槓子があります。これで 1 翻の手は役牌,立直,河底撈魚のいずれかです。他の 1 翻の役は,一発は立直が一緒につく,門前清自摸和と嶺上開花と海底摸月はロン上がりでない,平和と断么九と一盃口は手牌的に,槍槓はシャボ待ちなので,鳴いて 1 翻に下がる 2 翻の手は面前でない,といった理由で無理です。
後は他の役がつかないようにすれば良いです。いずれの役の場合でも当然ドラはアウトです。また,順子に一九牌を含む場合は少なくとも帯么九になるので順子は中張牌で構成される必要があります。役牌は暗槓子もしくは明刻子のいずれか 1 つが三元牌であれば良いです。頭に連風牌なので,他の風牌は役がありません。立直,河底撈魚の場合は 3 面子は一九牌もしくは風牌です。すべてが風牌だと小四喜になります。いずれも一牌のみ,もしくは九牌のみだと三色同刻がつきます。まあここまでケチつける必要もないと思いますが。
まとめると以下のようになります。
- 連風牌の頭が 4 符のルールを採用。
- 中張牌の順子と 2 つの么九牌の暗槓子。
- 連風牌と么九牌のシャボ待ち。
- 面前で么九牌のロン和了。
- 役牌,立直,河底撈魚のいずれかの役で,他の複合役がない。
相当レアな役であることがわかりますね。これを実現する手の例としては『咲-Saki-』でも読んでみてください。 6 巻の 107 ページに載ってます。